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Hero : The Destiny

                          文責 : 緑川冬馬


☆最初に

・これは、ホワイトウルフ社のストーリーテリング・ゲームのシステムを使用して日本の特撮ヒーロー番組におけるスーパーヒーローの活躍と悲哀を描こうという趣旨に基づいた企画です。
 なお、ここではいわゆる「等身大ヒーロー」(仮面ライダーや戦隊シリーズなど)のみを扱い、「巨大ヒーロー」(ウルトラマンなど)は含まないこととしました。システム的にやや無理があるためです。

・遊ぶためのシステムとしては「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」を基本とし、できるだけキャラクターシートに手を加えずに遊べるようにしていきたいと思います。

・世界観(雰囲気)としては、「リアルな世界に現れたスーパーヒーロー」を再現できるようにすることを目指します。
 わかりにくいかもしれませんが、これを読んでいる「あなた」が、この現実世界において、ある日スーパーヒーローとしての力を得たとしたなら……? ――という感じです。
 TV作品でいえば、「仮面ライダークウガ」が近いです。
 敵(”怪人”)が暴れれば警察が出動するし、スーパーヒーローがうかつに活動すればマスコミが追ってくる……そんな世界です。。
 舞台を未来(近未来)や過去(近過去)、異世界にする……あるいは雰囲気をよりコミカルにしたり、「ワールド・オブ・ダークネス」風にしたり、「いかにもな特撮番組」風にしたり……そういった変更はストーリーテラーの責任において自由にしていいでしょうが、基本として「現実世界に現れたスーパーヒーロー」を描くことを狙っていこうと思います。。

・ここでもストーリーテリング・ゲームにおける「黄金律」は有効です。
 すなわち「ノー・ルール(ルールは無い)」というものです。
 詳しくは「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」ルールブック214ページを参照して下さい。

・この企画で遊ぼうとするなら、「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」を購入して読んでおいて下さい。ストーリーテラー(ゲームマスター)をするなら、これは義務だと思って下さい。
 プレイヤー(その他の参加者)として遊ぶなら、「できるだけ読んでおいたほうが良い」とお勧めしておきます。アトリエサードより日本語版が発売されています(定価6千円+税、ISBN4-88375-021-3)。
 いずれにせよ、この企画にはホワイトウルフ社やアトリエサードの利益を損なうつもりは毛頭ないことを明記しておきます。

・この企画は大勢の意見を常に募集しております。
 企画者ひとりの意見では、満足に形にすらならないことは自明なものですから……。
 現に、現段階では抜けている部分ばかりです。
 これから少しずつ埋めていって、形にしていきたいと思っています。

☆概要

 誰もが一度は、テレビで特撮ヒーロー物を見たことがあると思います。
 万が一見たことがなくても、「仮面ライダー」の名前くらいは聞いたことがあるでしょう?
 しかし、「仮面ライダー」に代表される(というと異論があると思いますが、それはそれとして)特撮ヒーロー物の設定をよく読んだ方は少ないと思います。そして、それが意外なほど暗く不幸に彩られたものが多いことも。
 例を挙げてみましょう。

・その男は平和に暮らしていたのだが、ある日その街を悪の軍団が襲撃する。街は破壊され、「彼」の両親、妹も殺されてしまう。「彼」は家族が死んでいくのを目の当たりにしながらも何もできず、そのまま大怪我のために意識が薄れていく。そんな時、襲われた街に二人の男が到着する。彼らはひどい有様に眉をしかめながらも生存者がいないか調べていき、瀕死の「彼」を発見する。「彼」を助けるためには、通常の手術では間に合わない……改造手術をして、体のほとんどを機械に変えねばならないのだ。彼らは協力して「彼」を蘇らせる。二度と再び戻らぬ、鉄の体に……。

・「彼」は地下の魔界に住む悪魔である。しかし、ただの悪魔ではなく、人間との混血なのである。それ故幼い頃から仲間外れにされ、いじめられていた「彼」。しかし「彼」はひねくれることもなく、育っていった。そんなある日、悪魔が人間界に攻め入るという噂を聞く。「彼」は自分に半分流れる人間の血から、その侵攻をくい止めようと決意する。たった二人の賛同者とともに人間界に入る「彼」だが、その悪魔特有の外見から人間と相対することができない。魔界から来た悪魔からは裏切り者とののしられ、人間たちにも協力してもらえず、それでも攻め入ってくる悪魔たちを次々と倒していく「彼」。「彼」は悪魔なのだろうか、それとも人間なのだろうか……?

・銀河連邦警察所属の刑事である「彼」は、宇宙刑事であった父と地球人の母を持つ混血である。晴れて一人前となった「彼」は、死んだ母の故郷であり父も愛した地球へと赴任してくる。宇宙犯罪組織から狙われた地球を守るために戦う日々の中で、かつて殉職したとばかり思っていた父がどこかで生きているらしいことを知る。二度と会えないと思っていた父が生きている……! なんとかして会いたいと願いつつ、今日も彼は犯罪組織と戦うのである。この修羅の道が、父の元へと続いているかのように……。

 これらはいずれも人気番組の簡単なあらすじなのですが、他にも両親が殺されたとか勝手に体を戦闘機械に改造されたとか組織ごと滅ぼされてわずかな生き残りたちが立ち上がるとか、そんな話はたくさんあります。
 そう、特撮ヒーロー物には、シリアスにして描けばとても暗くなってしまうものがたくさんあるのです。
 しかし、そんな魅力(あえて「魅力」と言いますが)は一部の特撮ファンにしか知られていません。
 そしてRPGで遊ぼうにも、満足に特撮(変身)ヒーローをやれるシステムもありませんでした。えぇ、断言させていただきますとも、「満足できるシステムはありませんでした」!
 そこで、ストーリーテリング・ゲームを利用することを思いつきました。
 くどくどと説明はしませんが、「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」や「ワーウルフ:ジ・アポカリプス」といった作品は、少し手を加えただけで立派にヒーロー物らしくなります。
 そこで今回の企画では「少し手を加える」のではなく「大幅に手を加えて」みました。より本格的に「日本の特撮ヒーロー」ができるように、です。
 これまで一部の漫画でしか味わえなかった「シリアスな特撮ヒーロー」を、我々の手で描いてみたくはありませんか?
 そのヒントが、ここにはあります。


☆注意

 この「ヒーロー:ザ・ディスティニー」は日本のTV特撮ヒーロー物を再現することを目指すTRPGですが、独特の世界観と使用するシステムにより、幾分いわゆる「特撮ヒーローらしさ」を無視しています。
 そのため、必ずしも「ヒーロー物らしい展開」にはならないはずです。
 もしそれが嫌なら、シナリオ作成時点で何らかの対策を練る必要があります。
 それでは、どういう部分が「らしくない」かを見ていきましょう。

・「戦闘員が強い」
 というより、スーパーヒーローが弱いのです。使用しているシステムがそうなっているからなのですが、例え相手が喧嘩の強い一般人であっても数人がかりで殴られればスーパーヒーローといえど昏倒する可能性があります。ましてや、TVでよくあるような「変身前のヒーローが並み居る戦闘員をばったばったとなぎ倒す」というシーンは再現不可能だと考えて下さい。
 加えて戦闘が厳しいため、プレイヤーキャラクターが卑劣な戦術を駆使することもあります。
 いずれも、やむを得ないことだと考えて下さい。この厳しさも、楽しみのうちなのです。
 これへの対策ですが、ひとつは「戦闘員を出さない」ことです。「仮面ライダークウガ」などのように、怪人(作戦遂行担当者)のみが暗躍しているのです。
 もうひとつの対策は(お勧めできませんが)対戦闘員戦のみの特別システムを使用することです。これは、戦闘員や一般人などの明らかに「格下」を相手にするときのみ使用する戦闘システムです。どういうものかというと、通常の〈敏捷〉+〈格闘〉(難易度6)で判定して、成功度と同じ数だけの敵を倒したことにする、というものです。スピーディーにばったばったと倒すことは再現できるのですが、面白みには欠けるでしょう。

・「対立する勢力がいくらでもいる」
 普通の特撮ファンならスーパーヒーロー連合軍対悪の軍団という構図を想像するでしょうが、「ヒーロー:ザ・ディスティニー」の世界観の中ではやや事情が変わります。
 この世界では、スーパーヒーロー(あるいは悪の軍団)同士でもいがみ合うことがありますし、場合によってはスーパーヒーローと悪の軍団の間で取引があるかもしれません。
 生きていくことも厳しいこの世界では、スーパーヒーローはTVのような勧善懲悪でいるわけにはいかないのです。
 これへの対策は簡単です。シナリオの上で、多くのスーパーヒーローや悪の軍団を出さなければいいだけの話です。プレイヤーキャラクターとひとつの組織のみによる戦いにすれば、TVシリーズを簡単に再現できるでしょう。

 対策、と書きましたが、これはいずれも「あくまでTVシリーズの再現にこだわりたい方」への提案です。
 この「らしくなさ」が「ヒーロー:ザ・ディスティニー」の面白さの一要素だと、企画者(緑川)は思っております。




☆イントロダクション

「愛ある限り戦いましょう! 命……燃え尽きるまで!!」
                   ――ポワトリン、「美少女仮面ポワトリン」


●スーパーヒーローとはなにか?
「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」ではプレイヤーはホラー映画に登場するような不死の吸血鬼を演じることになるが、「Hero : The Destiny」では特撮ヒーロー物に登場するスーパーヒーローを演じ、ほとんど我々のそれと変わらない世界でキャラクターを監督する。
 現代の裏側に潜む悪と戦うスーパーヒーローは、このルールで遊ぶ上では、我々の思い描く姿とは異なる部分がある。まず、スーパーヒーローには人間でないものがいるということを理解してもらったほうがいいだろう。というより、中には人間もいる、くらいの認識でいい。うわべは人間に類似しているものの、生理学的にも心理学的にもまったく違う面を数多く備えた別の者(あるいは物)であるということだ。
 我々の認識と異なっている部分をいくつかあげてみよう。
・「スーパーヒーローは必ず勝利する」
 間違い。必ず勝利するのではゲームに緊張感が生まれない。プレイヤーがぼんやりしているようなら、遠慮なく悪の軍団の恐怖を思い知らせるのが良いだろう。
・「スーパーヒーローが「悪の軍団の仕業だ!」と言えば、誰もが納得する」
 間違い。頭の悪い子供でもない限り、そんな理屈が通るわけはない。
・「警察や自衛隊は無能なので、悪の軍団相手には動かない」
 正しいとも間違いとも言える。確かにほとんどはそうかもしれないが、一部には軍団の脅威に気付いて動き出している者たちもいるのだ。



●このコンテンツの使い方

 このコンテンツはいくつかの章に分けられており、各章ではゲームの特定の範囲について掘り下げられ、説明が行われている。しかしストーリーテリング・ゲームでもっとも重要な”章”はあなたの想像力である。このコンテンツに書かれたことにとらわれて、あなたの創造性を制限しないように。
 第一章:「暗黒の世界」では、スーパーヒーローと悪の軍団が戦いを繰り広げる世界について記述される(予定である)。
 第二章:「出身と組織」は、スーパーヒーローがどのような生まれなのかと、スーパーヒーロー(と悪の手先)が属する組織についてである。
 第三章:「キャラクターと特性」では、スーパーヒーロー・キャラクターを作る際に必要なことが書かれる(予定である)。
 第四章:「特殊能力」には、スーパーヒーローの超常的な力が叙述されている。
 第五章:「ルール」と第六章:「システムとドラマ」には、「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」ルールブックの記述からの変更点を記載している。
 第七章:「スーパーヒーローの歴史」は、サンプル・ワールドにおける歴史と悪の軍団との戦いの記録である。
 第八章:「ストーリーテリング」ではストーリーテラーがどのようにすればキャラクターを巻き込んだ面白い物語を構築できるかが語られる(といいなあ)。
 第九章:「敵対者」には、スーパーヒーローの友人と敵の特徴が記される(予定である)。
 最後に、「補遺」では、上級者向けのルールや追加設定が提供される(予定である)。


●資料
 長年にわたり人気を保ちつづけているこのジャンルに、「Hero : The Destiny」は敬意を表する。スーパーヒーローやSF系のサブカルチャーは流行が過ぎたと思われているが、じっさいは絶えることなく生き続いている。
 以下のものは「Hero : The Destiny」とこの世界に多くの影響を与えたものである。
推奨作品:すべての日本製TV特撮ヒーロー作品。とりあえず、現在放映中のヒーロー物は見ておいたほうが良いだろう。レンタルビデオ店にも、いくつもの作品が並んでいるはずだ。
 また、書店に置いてある資料本や研究本も参考になるが、作品に対する「愛情」の無い本は避けること。雑誌では「宇宙船」(朝日ソノラマ)、「テレビマガジン」(講談社)、「てれびくん」(小学館)が定番である。
 漫画では「仮面ライダースピリッツ」(村枝賢一・著、マガジンZ、講談社)、「最終兵器彼女」(高橋しん・著、ビッグコミックスピリッツ、小学館)、「からくりサーカス」(藤田和日郎・著、少年サンデー、小学館)「ETRANGER─エトランゼ─」(梶 研吾+富沢 順・著、SUPER JUMP、集英社)などをお勧めしよう。




第一章「混沌の世界」へ
第二章「出身と組織」へ
第三章「キャラクターと特性」へ
第四章「特殊能力」へ
第五章「ルール」、第六章「システムとドラマ」へ
第七章「スーパーヒーローの歴史」へ
第八章「ストーリーテリング」へ
第九章「敵対者」へ
「補遺」へ


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